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理屈っぽい料理本

2006.02.23 (Thu)

最近の、僕の愛読書です。
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料理本の多くは「お作法」を教えるモノである。
一方、この『理屈で攻める、男の料理術』は科学本である。

「昔からこうしてきたの!」という納得のさせ方ではなく、「旨味は、この温度だと○○に変化する。だから××するのだ」という説明手法。言い換えると、普遍性(いつでも、どこでも通用するコト)の追求に重きを置いている。

「なぜその過程でそれをするのか?」「なぜ、そうした方がよいのか?」―多くの料理本は、こういう読者の疑問には答えてくれない。それは多くの家事本が、読者層を科学や理屈を追求しない種類の人と特定して書かれているからだ。出版の企画段階で、「そんな難しいことを書いても、読者にはわからない」というような判断がされているからだろう。だから、シンプルな(でも本質的な)疑問にも答えてくれない。だから、「なぜ?」「どうして?」「こんな場合は?」など、より深い根拠や情報を求める読者には、満足できないモノが多くなってしまう。

(ここからが重要)
そして、料理や家事は、教養や科学とは関係なく理屈抜きにするモノに位置づけられる。これが、「そんなモノは女性にさせとけばいいのだ!」という性別役割分担の温床にもなっている(ちょいと飛躍はあるけど、あながち間違ってないと思う)。数多の料理本や家事本に、科学的根拠が添えられないのは、出版側のジェンダー観の反映といえるだろう。「料理や家事をする女性達は、根拠よりも『こうするモノだ!』という情報を求めている」という偏った観点。

男性が家事をするようになる時、そこに大きく立ちはだかるのが、この「お作法」の数々。妻や彼女やパートナーの個人的な流儀に留まらず、それが代々伝わる根拠なき(根拠不明な)お作法の場合、それを打破するのは、天動説をひっくり返すくらい、困難になる。他者から見ると、意味不明にみえる行為も、お作法なら平気でできてしまう。たとえば、「吹きこぼれたら差し水」という、科学的にみれば明らかに誤りである行為も、「お作法」とあれば疑い無くできてしまう。それ故、新参者の男性家事実践者は戸惑い、「僕には無理だ」となってしまう。

だけど、その戸惑いこそが、お作法を越えた科学的根拠への引き金になる。「この『当たり前』は本当に『当たり前』なのか?」この考え方(Critical・Thinking)をもてるかどうかは、まさに「学ぶ力=学力」によるところが大きい。

「なぜ?」「どうして?」に答えてくれるこの料理本は、そんな探求心や知識欲あふれる料理人に向けた教科書になってくれる。そして、「お作法」を打破する力を与えてくれる。この本を読むと、調理とは結局のところ「物質の変化」に尽きることがわかる。物質がどう変化するか?がわかると、道具が変わっても、気圧が変わっても、食材が変わっても美味しい料理を作る情報が得やすくなる。これこそが「お作法を越えた料理本」と言えるモノだろう。

理屈で攻める、男の料理術―食材と調理法の基本をきわめる
ラス パースンズ Russ Parsons 忠平 美幸 / 草思社
ISBN : 4794213190
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